判例

法律に関すること

契約の落とし穴? 公序良俗違反とは

- 契約の原則と例外 私達が日常生活で結ぶ契約は、当事者である個々の自由な意思によって成立します。これは「契約自由の原則」と呼ばれ、民法にも明記されている重要な原則です。 自分の意思で、誰と、どんな内容の契約を結ぶのか、自由に決めることができるのです。これは、個人の尊重と自由な経済活動を促進する上で非常に重要な考え方です。 しかし、だからといって、どんな契約でも認められるわけではありません。いくら当事者間で合意したとしても、その内容が社会全体の秩序や道徳観念に反する場合、法律によって無効とされてしまうことがあります。これを「公序良俗の原則」といいます。 例えば、違法薬物の取引や、殺人などの犯罪行為を約束する契約は、明らかに社会秩序や道徳に反するため、無効となります。また、あまりにも一方当事者に不利な内容の契約や、詐欺や脅迫などによって成立した契約も、公序良俗の原則に反するため、無効とされる可能性があります。 このように、契約は自由な意思に基づいて結ばれる一方で、社会全体の秩序や道徳観念との調和も求められます。「契約自由の原則」と「公序良俗の原則」は、車の両輪のように、私達の社会における契約関係を支える重要な原則なのです。