算定基礎届とは？従業員と事業主を守る重要な仕組み
保険を知りたい
先生、「算定基礎届」ってなんですか？保険料の計算に関係するって聞いたんですけど、よくわかりません。
保険の研究家
そうだね。「算定基礎届」は、簡単に言うと、みんなが毎月もらっているお給料を元に、保険料を計算するための資料のことなんだ。会社がみんなに代わって作って、年金事務所に出すんだよ。
保険を知りたい
ふーん。みんなのお給料を全部調べるんですか？
保険の研究家
そうだよ。4月から6月のお給料をまとめて、7月に提出するんだ。この資料に基づいて、保険料や将来もらえる年金のおおよその金額が計算されるんだよ。
算定基礎届とは。
「算定基礎届」とは、会社で働く人が加入する健康保険や厚生年金保険のために、会社が提出する書類のことです。これは、実際に支払われる給料と、保険料の計算に使われる基準となる給料との間に大きな差が出ないようにすることを目的としています。具体的には、会社は毎年7月1日時点で働いている従業員全員に対して、4月から6月の3ヶ月間に支払った給料の金額を、管轄の年金事務所などに届け出ます。そして、厚生労働大臣はこの届け出をもとに、毎年、保険料の計算の基準となる給料を決定します。この基準となる給料のことを「標準報酬月額」と言い、保険料だけでなく、将来もらえる年金の金額なども、この標準報酬月額に基づいて計算されます。
算定基礎届の役割
– 算定基礎届の役割 健康保険や厚生年金保険は、病気や怪我、老後の生活で私たちが経済的に困窮することなく、安心して暮らせるよう支える重要な役割を担っています。これらの保険の保険料や給付額は、被保険者の収入を基に計算されます。 しかし、実際にもらう給与は、残業時間や賞与などによって変動するのが一般的です。そのため、その都度、保険料や給付額を計算し直していては、事務処理が煩雑になるだけでなく、保険料が安定せず、家計の負担が大きくなってしまう可能性も考えられます。 そこで、一年間の収入を予測し、保険料や給付額を計算するための基準となるのが「算定基礎届」です。 毎年一回、事業主が被保険者の前年の収入を基に、その年の収入を予測し、所定の様式に記入して、日本年金機構に提出します。 この算定基礎届によって、保険料や給付額が一年間固定されるため、被保険者は安心して生活を送ることができます。また、事業主にとっても、事務処理の負担軽減につながるというメリットがあります。 算定基礎届は、私たちが安心して暮らしていく上で、欠かせない重要な制度と言えるでしょう。
毎年7月が提出期限
毎年7月は、従業員を雇用している全ての事業主にとって、重要な手続きである「算定基礎届」の提出期限月です。 算定基礎届とは、その年の4月から6月までの3か月間に従業員に支払った賃金の総額を、日本年金機構に報告するための書類です。提出期限は7月末日となっています。 この届出は、従業員の年金や健康保険の保険料を計算する上で非常に重要です。なぜなら、算定基礎届に基づいて、従業員一人ひとりの標準報酬月額が決定されるからです。標準報酬月額は、将来受け取ることのできる年金受給額にも影響を与えるため、正確な情報を届け出る必要があります。 従業員を雇用している全ての事業主は、7月末日までに忘れずに算定基礎届を提出しましょう。
標準報酬月額とは
– 標準報酬月額とは -# 標準報酬月額とは 従業員の毎月の給与やボーナスといった報酬を元に計算される金額を、標準報酬月額といいます。この金額は、健康保険や厚生年金保険などの社会保険料、そして病気やケガで働けなくなった場合に受け取れる傷病手当金などの給付額を計算する際の、大切な指標として使われます。 標準報酬月額は、会社が従業員一人ひとりの給与などの情報をもとに作成し、日本年金機構などに提出する「算定基礎届」という書類に記載された賃金総額に基づいて決定されます。そして、この標準報酬月額を決めるための基準となるのが、厚生労働大臣が毎年決定する「等級表」です。 等級表は、従業員の報酬額に応じて段階的に分けられており、それぞれの等級に該当する標準報酬月額が決められています。例えば、ある等級の範囲が30万円から32万円で、その等級に対応する標準報酬月額が31万円だとします。この場合、実際の報酬額が30万円から32万円の従業員は、標準報酬月額が31万円となります。このように、標準報酬月額は実際の報酬額をそのまま使うのではなく、等級表に基づいて決められるため、注意が必要です。
保険料や給付額への影響
– 保険料や給付額への影響 毎月の給与から天引きされる健康保険や厚生年金保険の保険料、そして将来受け取ることになる年金などの給付額は、実はどちらも「標準報酬月額」を元に計算されています。この標準報酬月額は、毎年会社から提出が義務付けられている「算定基礎届」という書類の情報に基づいて決定されます。 保険料は、この標準報酬月額に一定の割合を掛け合わせた金額となります。例えば、健康保険料率が10％、標準報酬月額が30万円の場合は、30万円×10％＝3万円が毎月の保険料として給与から控除されることになります。 一方、年金などの給付額は、標準報酬月額に加えて、保険料の納付期間や受給資格期間なども考慮して計算されます。つまり、長期間にわたり高い標準報酬月額で保険料を納付していれば、それだけ将来受け取れる年金額も多くなる仕組みです。 このように、標準報酬月額は、私たちの暮らしに密接に関わる保険料や給付額を左右する重要な要素と言えます。
正確な情報の提出を
– 正確な情報の提出を -# 正確な情報の提出を 従業員の社会保険への加入や保険料の計算は、事業主から提出される算定基礎届に基づいて行われます。この届出は、社会保険制度を正しく運用していく上で非常に重要な役割を果たしています。 事業主は、従業員一人ひとりの賃金情報を正確に把握し、間違いのないように届出を行う必要があります。もし、虚偽の内容を報告したり、必要事項に記入漏れがあったりすると、社会保険料の追徴や、従業員が本来受けられるはずの benefits を受けられなくなる可能性があります。 従業員も、自分の給与明細の内容と照らし合わせて、届け出の内容に間違いがないかを確認することが大切です。もし、給与明細と届け出の内容に discrepancy があった場合は、事業主に対して速やかに申し出るようにしましょう。 社会保険制度は、病気、怪我、出産、失業、老後など、私たちが生きていく上で直面する様々な risk に備えるためのものです。事業主と従業員が協力して正確な情報を届け出ることで、この制度を適切に運用していくことができるのです。