生命保険と利差益:その仕組みを解き明かす
保険を知りたい
「保険の『利差益』って、どういう意味ですか?難しくてよくわからないです。」
保険の研究家
そうだね。「利差益」は少し難しい言葉だけど、簡単に言うと「運用で得られた利益」のことなんだ。例えば、みんなが預けたお金を銀行が運用して、その運用成績が良かった場合に銀行に入る利益と似ているよ。
保険を知りたい
銀行が運用して利益が出るのと同じように、保険会社も運用でお金を増やしているということですか?
保険の研究家
その通り!保険会社は、集めた保険料を運用して、その運用益の一部を「利差益」として計上しているんだ。もちろん、運用成績が悪い場合は「利差損」になることもあるんだよ。
利差益とは。
生命保険会社が保険事業で得た利益は基礎利益と呼ばれます。この基礎利益は、「利差益」「費差益」「死差益」を合わせて、そこから予期せぬ損益を引いて計算されます。 「利差益」は、あらかじめ決めていた運用で得られる利益よりも、実際に運用して得られた利益が多くなった時に発生する利益です。「費差益」は、あらかじめ見込んでいた事業に掛かる費用よりも、実際に掛かった費用が少なかった時に発生する利益です。「死差益」は、あらかじめ予想していた死亡する人の割合よりも、実際に死亡した人の割合が少なかった時に発生する利益です。
生命保険会社の基礎利益
生命保険会社は、私たちが支払う保険料を主な収入源としています。しかし、その収益構造は一見複雑に見えます。生命保険会社が保険事業で得た利益は「基礎利益」と呼ばれ、この利益はさらにいくつかの要素に分解することができます。 大きく分けると、「利差益」「費差益」「死差益」の3つと、臨時の損益から成り立っています。 まず「利差益」とは、集めた保険料を運用して得る収益と、契約者に約束した予定利率の差によって生じる利益です。 次に「費差益」は、保険金の支払いに備えて積み立てるお金である責任準備金を運用して得る収益と、実際に事業運営にかかった費用との差額です。 そして「死差益」とは、当初想定していたよりも、保険金の支払いが少なかった場合に生じる利益です。 これらの要素に加えて、基礎利益には、株式や債券などの売買益などの臨時的な損益も含まれます。 これらの要素を理解することで、生命保険会社の収益構造をより深く理解することができます。生命保険会社は、これらの利益をバランスよく確保することで、安定した経営と契約者への保険金支払いを行っています。
利差益:運用による利益
– 利差益運用による利益 保険会社は、加入者から集めた保険料をただ保管しているだけではありません。将来の保険金支払いに備えるため、集めた保険料は安全性を重視しながらも、株式や債券などで運用し、利益を生み出しています。この運用によって得られる利益と、契約時に約束した予定利率との差額のことを「利差益」と呼びます。 保険会社は、契約時に将来の保険金支払いなどに備えて、あらかじめ一定の利率で運用することを前提に、保険料などを算出しています。これが「予定利率」です。そして、実際に集めた保険料を運用して得られた利益が、この予定利率を上回った場合、その差額が「利差益」として計上されます。 近年は、超低金利政策などの影響で、安全性の高い運用先でも期待できる収益率が低下しており、予定利率を上回る運用が難しくなっています。そのため、利差益の確保は、保険会社にとって大きな経営課題の一つとなっています。 各社は、国内外の様々な資産への分散投資や、新たな運用手法の導入など、工夫を凝らして収益の確保に努めています。
費差益:事業費の効率化による利益
{費差益とは、保険会社が事業を行う上で必要な費用である事業費を、当初の見込みよりも削減できた結果として生まれる利益のことです。 保険会社は、新規顧客との契約、保険金や年金などの支払い、顧客からの問い合わせ対応など、様々な業務を行っています。これらの業務にはそれぞれ費用が発生します。例えば、新しい保険を販売するために広告を掲載したり、顧客からの問い合わせに対応するためにコールセンターを運営したりする費用などが挙げられます。 保険会社は、将来発生する事業費を見込んで保険料などを設定しています。しかし、実際にかかった費用が、見込みよりも少なかった場合、その差額は利益となります。これが費差益です。 事業費の効率化によって費差益を増やすことは、保険会社にとって重要な経営課題の一つです。例えば、事務作業の自動化や、顧客とのやり取りをオンライン化するなど、様々な取り組みが行われています。 費差益の増加は、保険会社の収益力向上に繋がり、ひいては、より良い商品やサービスの提供を通じて、顧客にも還元されることに繋がります。
死差益:実際の死亡率に基づく利益
– 死差益実際の死亡率に基づく利益 生命保険会社は、加入者が将来支払うべき保険料を計算する際、様々な要素を考慮に入れます。その中でも特に重要な要素の一つが「予定死亡率」と呼ばれるものです。これは、加入者の年齢や性別、健康状態といった情報に基づいて、将来どのくらいの確率で亡くなるかを統計的に予測したものです。生命保険会社は、この予定死亡率を用いて、加入者から集めた保険料が、将来発生する死亡保険金の支払いに十分足りるかどうかを計算し、保険料を設定しています。 しかし、現実の世界では、予測はあくまでも予測に過ぎず、必ずしも現実と一致するわけではありません。例えば、健康的な生活を送る人が増えたり、医療技術が advancement したりすることで、実際の死亡率が予定死亡率よりも低くなることがあります。このような場合、生命保険会社は、当初見込んでいたよりも少ない保険金の支払い額で済むことになります。この時、予定していた保険金の支払い額と、実際に支払った保険金の額との間に生じる差額のことを「死差益」と呼びます。死差益は、生命保険会社にとって重要な収益源の一つとなっており、保険料の算出や経営の安定化に大きく貢献しています。
基礎利益の重要性
– 基礎利益の重要性 生命保険会社は、加入者から集めた保険料を運用することで収益を得て、そこから保険金の支払いを行っています。この時、保険金や事業費の支払いを差し引いた後に残る利益が基礎利益と呼ばれ、生命保険会社の経営状態を測る上で非常に重要な指標となります。 基礎利益は、主に「利差益」「費差益」「死差益」の3つから成り立っています。利差益とは、集めた保険料を運用して得られる収益と、契約者に保証している予定利率の差額を指します。費差益は、保険金の支払いや事業運営に必要な費用である予定事業費と、実際に発生した費用の差額です。そして死差益は、加入者の死亡率を元に統計的に算出した予定死亡率と、実際の死亡率の差額によって生じます。 生命保険会社は、これらの要素を総合的に管理し、安定した基礎利益を確保することで、加入者への保険金支払いを確実に行い、顧客からの信頼を維持することができます。また、将来の事業展開や新たな保険商品の開発、さらには予想外の経済変動や大規模災害発生時にも備えるためには、健全な経営を維持するための資金として、基礎利益は欠かせないものです。安定した基礎利益を確保することは、生命保険会社にとって、健全な経営を維持し、顧客に安心して保険サービスを提供していく上で非常に重要な要素と言えるでしょう。